乳がんは“体質”!? 遺伝による「家族性乳がん」とは……

乳がんは“体質”!? 遺伝による「家族性乳がん」とは……

女優のアンジェリーナ・ジョリーが、遺伝によって起こる「家族性乳がん」の予防のために乳房を切除し、世間を驚かせました。
家族性乳がんとは近親者からの遺伝が原因で乳がんを発症してしまう病気です。

自分が家族性乳がんを遺伝しているかどうかは遺伝子検査で知ることができます。
今回は遺伝による家族性乳がんと非遺伝性乳がんそれぞれの原因と検査方法をご紹介します。



家族性乳がんの原因

乳がんや卵巣がんは、がん細胞の増殖を阻止する働きのあるBRCA1、BRCA2という遺伝子が何らかの理由で変異し、がん細胞を消すことができなくなり発症します。
家族性乳がんは乳がん患者全体の5~10%いるといわれ、近親者からこの変異したBRCA1、BRCA2という原因遺伝子のどちらかを遺伝し発症しているのです。



非遺伝性の乳がんの主な原因

遺伝によらない乳がんが発症するには以下の原因が関係していると言われています。

・たばこ
・アルコール
・高濃度放射線による被ばく
・長期間のピル服用
・早い初経と遅い閉経
・良性の乳腺疾患を持っている



家族性乳がんと非遺伝性乳がんの見分け方

日本乳癌学会のガイドラインにもありますが、以下の判断基準のいずれかを満たしていた場合、家族性乳がんを疑っていいでしょう。

① 近親者(両親、兄弟、姉妹)本人を含めて3人以上乳がん患者がいる。
② 近親者(両親、兄弟、姉妹)本人を含めて2人以上が乳がんで、そのうち1人以上に以下のどれかが該当する。
 ・40才未満で発症。
 ・両胸、または左右どちらかにがんが多発している。
 ・他の臓器にもがんが複数ある。
 ・男性の乳がん患者がいる。



遺伝子検査の方法

遺伝子検査は2通りあります。
1つは医療機関で検査を受ける場合は「血液検査」。
上記の判断基準に該当していて、専門のカウンセラーによるカウンセリングを受け、検査が必要と判断された場合のみ受けることができます。
カウンセリングにかかる費用は医療機関にもよって異なりますが、1時間3000円程度が相場です。
検査に保険適用はなく全て自費で、20~30万かかります。

もう1つは専門の検査機関に郵送で検査を依頼するケースです。
インターネットなどで申し込みし、検査キットを送ってもらいます。
自分で唾液を採取し返送。2ヶ月ほど後に検査結果を受け取ります。
こちらは10万円程度で検査を行えます。



遺伝子検査で陽性が出たら……

遺伝子検査で陽性が出たら……

遺伝子検査の結果「陽性」が出ても、乳がんを発症している場合としていない場合では対処が異なります。
発症していない場合は25才頃から医療機関で年1回のMRIによる検診が勧められ、40才頃にはマンモグラフィ検査を受けることが勧められます。
定期的に検診を行い、医師と相談のもと予防的に両側の乳房切除を行う方法があり、アンジェリーナ・ジョリーが受けた手術はこれにあたります。
またBRCA1やBRCA2の異変が見つかると乳がんだけでなく卵巣がんも発症するリスクが高いため、35~40才頃で妊娠・出産の希望や可能性がない場合は卵巣の切除を勧められるのが一般的です。

既に発症している場合は本人に強い温存手術の意思がない限り乳房切除が勧められます。
さらに卵巣がんや卵管がんを発症していないか精密検査をし、発症していなくても35~40才頃で妊娠、出産の希望や可能性がない場合は卵巣の切除を勧められるでしょう。

変異したBRCA1、BRCA2の遺伝子を持っていても60才までに40%、75才までに80%の人が発症するとされており、必ずしも100%乳がんになるわけではありません。
しかし遺伝子検査では、いずれの遺伝子が変異していないかを調べることができます。

家族や親族に家族性乳がんに該当する方がいる場合、遺伝子検査を検討しても良いかもしれません。