このLOVEHEARTS STORYは、院長池田優子が、その生い立ちから医師としての道を歩むまでの紆余曲折の半生を、ノンフィクションライターが綴ったものです。 2002年に発刊された本ですが、多くの女性に勇気を差し上げることができればと思い、ここに掲載させていただきます。

別れは新たな出会いのためにある

果菜子ちゃんを連れて古河市の実家に戻った池田は、話し合いの経緯を両親に伝えた。
彼女にしてみれば屈辱の報告に違いなかったが、両親は落胆するでもなく、人生はじめての大きな挫折を味わい帰ってきた愛娘を温かく迎えた。
父親の実さんは結婚を許した責任を感じ、みずから神宮前のビルを訪ねて女婿と話し合いの場を持った。
結局は弁護士を両家の間に立てることになり、池田が埼玉のマンションに移ってからちょうど1ヶ月たった6月末、協議離婚が決まった。
「果菜子を連れて青山のビルを出たときから、なにかが吹っ切れた気がしました。離婚後のことはなに1つ決まっていなかったのですが、やる気だけはフツフツと湧いてきました。もう1度やり直そう、と。今までは周りの人に寄りかかってばかりでしたが、これまでお世話になったぶん、これからは果菜子はもちろんのこと、周りの人を助ける人間にならなければと考えるようになりました。なんだか道徳の教科書に出てくる偉人伝みたいですけど」
政治家が同じことを口にすると、なんだかうさん臭いと思ってしまうかもしれない。
しかし、池田の小学生のような無垢なまなざしで見つめられながら「他人の力になりたい」なんて言われると、応援したくなってしまう。
それも彼女のもつ才能なのだろう。
池田の生き方を見ていると思い出す言葉がある。
彼女の朋友で作家の家田荘子さんの傑作『リスキーラブ』(講談社)の冒頭部分がそれだ。
「もっと楽な生き方もある。もっと美味しくも生きていける。もっと平穏な人生もある。なのに彼女たちは、愛に走らずにいられない。その崖まで突っ走った結果、そのまま落ちてしまうかもしれない。もしかしたら、その先にある対崖に、飛びつけるかもしれない。けれども彼女たちは、迷いもせず、まっすぐ愛に向かって、突っ走り続けるのだ」