このLOVEHEARTS STORYは、院長池田優子が、その生い立ちから医師としての道を歩むまでの紆余曲折の半生を、ノンフィクションライターが綴ったものです。 2002年に発刊された本ですが、多くの女性に勇気を差し上げることができればと思い、ここに掲載させていただきます。

28回の内訳

それにしても27人(最後の1人は前夫)のなにがいけなかったのか。
「遠くから眺めただけで会わずに帰ったり、何度もお会いした方までいろいろいましたけど、
そのなかでも3人の方とはかなりいい線までいったんです。
1人目はNさんといいます。
当時、慶応義塾大学病院産婦人科におつとめで、30歳そこそこで関連病院の医長になったすばらしい方。
2人で白金台のマンションを見に行ったりしました。
ほとんど非の打ちようがない良い出会いでした。
結局、Nさんとは結納寸前までいったんですが、いろいろあって最後の最後でダメになっちゃいました。
現在は地方で産婦人科を経営なさっているそうです。今思い出しても本当にいい縁談でした。
2人目はTさん。
ある私大附属病院の内科医長だった方です。
東京都内屈指の高級住宅街・渋谷区の松涛に豪邸を構えておられました。
ご自宅の倉庫に数千本の洋酒をお持ちの大資産家。にもかかわらず、
おごりたかぶることなく、気さくですばらしい方だったんです。
破談になったのは、自分のプライドのせいかもしれません。
Tさんのお母様にお会いしたとき、こんなことを言われたんです。
『息子と結婚すればあなたもこういう暮らしができるのよ。』さすがに我慢できませんでした。
3人目もTさんといいます。
ある私立学園グループのオーナー家のご子息で、わたしの3歳年上。
地方のご実家とは別に、成城の石原裕次郎邸の向かいに立っていた300坪の豪邸に住んでました。
彼にかんしてはおもしろいエピソードがあるんです。
大学を卒業する年、東京・銀座の歌舞伎座で日本舞踊の舞台を演じました。
そのとき共演させていただいた役者の方々と、後日、常磐線(JR)の車内でバッタリ。
Tさんと2人でデートから帰る途中でした。
デート現場を見られたところまでは良かったのですが、
信じられないことに俳優さんの1人が勘違いしてTさんに、『お父さまですか?』と。
今思えば些細なことですが、Tさんは激怒してました。まさか父親と間違われるとは......(笑)。
でも、決定的な破談の理由は、やっぱり地方に住むのは耐えられないってことですね。
結婚を考えるようになってから、わたしは都会でないと生きられないことに気づいたんです」
 いい線までいったという男性は、すべて資産家で性格も良い紳士ばかりではないか。
これほどの条件でも断るのでは何度お見合いしても無駄というものだ。