このLOVEHEARTS STORYは、院長池田優子が、その生い立ちから医師としての道を歩むまでの紆余曲折の半生を、ノンフィクションライターが綴ったものです。 2002年に発刊された本ですが、多くの女性に勇気を差し上げることができればと思い、ここに掲載させていただきます。

女手一つで子育て

医師だから当然だと言われればそれまでなのだが、ハッキリ言って池田優子は忙しい。
時給100万円といっても収入になるのは当然そのごく一部。
1ヶ月に2、3度オペすりゃ十分です、というわけにはいかない。
じっさい、売れっ子美容外科医の彼女は1日平均2~3回のオペに立ち会わねばならない。
多いときは1日5件にも及ぶというのに、「毎日コンスタントに手術をしていないと疲れてしまう」というのだから、
生来の医師なのだろう。
しかも、前述したように彼女は17歳になる女子高生の母親である。
家事・炊事だってしなければならない(その合間を縫ってわたしのインタビューに応じている)ことを考えると、
すさまじいバイタリティーというほかない。
これだけで驚いていてはいけない。
もったいぶってお伝えするのが遅くなり申し訳ないが、実は彼女、「シングルマザー」なのだ。
10数年前の離婚後、紆余曲折をへて、現在は都内の私立高校に通う娘の果菜子ちゃんと2人、
渋谷区のマンションで楽しく暮らしている。
常識的に考えて、医者という職業は高給取り。
しかも顔良しスタイル良しとなれば、再婚話はいくらだってあったはずだ。
なにゆえわざわざ苦しい道を選択したのか。
「確かに縁談を持ちかけてくる人はたくさんいました。全部断りましたけどね。
わたし、1度結婚して"家庭に入る"ことの嫌な面や不条理さみたいなものを見過ぎちゃったんだと思うんです。
もちろん世の中にはすばらしい男性がたくさんいますから、
めぐり合わせによってはそういう嫌な面をみじんも感じない結婚があるのかもしれません。
わたしは運が悪かったのかな。
理由はともかく、どんなにつらいことがあっても自分から再婚したいと思ったことはないんです。
これからも2度と結婚するつもりはないです、なんていう気はありませんが(笑)。
けど、きっと再婚はしない気がするなあ......わたしの人生は、娘の幸せのためならもうどうなってもいいと思ってますから」
「本当にそう思ってるの?再婚できない理由でもあるんじゃないの?」と思っている方も多いのではないだろうか。
それもごもっとも。グラビアページをごらんになればわかるように、池田は外見的にとっても派手だ。
人を外見で判断するのははばかられるが、とてもじゃないけれどシングルマザーには見えない。
おまけに、苦しい人生の影は微塵も感じられない。一見して娘のために人生を投げ出すようなタイプにも見えない。
そこまで言う必要はないかもしれないが(笑)、初印象という意味では、わたしの感想に反対する読者はいないだろう。
見かけの通り、池田は喋りだすとキリがない。とくに自分の主張の場合は。だが黙って話を聞いていると、
池田が自分自身についてしゃべることはほとんど彼女なりのエンタテイメントかショーに過ぎないことに気づかされる。
池田はいつ会っても、休むことなくしゃべり続けてこちらを笑わそうとするが、
自分自身が相手にどう評価されるかはまるで考えていないように思う。
池田本人は意識していないのかもしれないが、自虐的なくらいに相手を笑わせたり、興味を引こうとする。
自己主張が強すぎる人間と話すとたいてい疲れるし、嫌気がさすものだ。
しかし、池田の話はいくら聞いてもほとんど疲れない。彼女には他人に押しつけるような自己がないからだ。
大げさに聞こえるかもしれないが「無私」とでもいったらいいだろうか。
その原因はおそらく、守るべきもの=1人娘の存在にあるのだが、詳しくは次章以降に譲るとする。
さて、そんなわけで"シングルマザー天才女医"池田優子の日常生活は人倍めまぐるしい。
つい先日まで大手美容外科に勤めていた彼女のスケジュールは次のようなものだった。
朝六時に起床、果菜子ちゃんのお弁当を作り、シャワーを浴びる。
11時には病院着、2~5件のオペを執刀、その後カルテの管理など事務作業。
買い物は帰り際にスーパーで済ませ、帰宅後は2人分の夕食を作る。
服などの私的な買い物はできるだけオペの空き時間に済ます。
(ちなみに掃除と洗濯は果菜子ちゃんの仕事だそうだ。)
また週に1回は必ず、同美容外科の名古屋医院で出張オペをしなければならない。
土日曜が休暇とは限らないからだ。
オペを持っている女性のスケジュールに合わせるのは、彼女にとって至極当然のことらしい。
しかも、どんなに忙しくても食中食後には果菜子ちゃんとコミュニケーションをとる時間をとるという。
果菜子ちゃんの元気な顔だけが池田のエネルギーの泉なのだ。